こんにちは、鳥居遊邦です。

今回ご紹介する作品は「アラン・ドロンのゾロ」です。

025アラン・ドロンのゾロ


 総督に任命されたものの、任地への到着前に殺された友人。
その友人の名前を語り、代わりに赴任して暴れまわるという作品です。舞台設定はスペイン領の新大陸。任地では軍隊が好き勝手、そのせいで農民は困窮しています。
表の顔は無能な総督ですが、もう一つの顔ではこの地に伝わる伝説のキツネ(=ゾロ)となり、剣で悪を切っていきます。

<アラン・ドロンの主演第50作目>
 役者の主演作の数え方というものは決まっていませんが、日本公開時にはチラシや映画紹介番組、新聞の広告にすべて「アラン・ドロン主演第50作記念作品」という宣伝文句が謳われていました。
じゃあ、初主演作品は?と聞かれると「太陽がいっぱい」と答えてしまいがちですが、違います。たぶん1959年に日本で公開された「恋ひとすじに」です。「たぶん」としたのは、出演者ロールの何番目までなら主演と言えるのかという明白なルールがないからです。

<サウンドトラック>
 仏伊合作映画で撮影はスペイン、言語はイタリア語。
まるでマカロニウエスタンですが、作品のテイストもマカロニウエスタン風です。アルバム全般に流れる雰囲気はメキシコっぽいですが、サウンドトラックは英語のタイトルが並び、主題歌「Zorro Is Back」も英語で歌われています。主題歌を歌うオリバ・オニオンズは、サウンドトラックの作曲者兄弟のユニット名です。

 軽快な主題歌は作品中でも何度か使われますが、剣の達人が舞うように戦うシークエンスにはピッタリの曲です。私の周囲でもこの曲を覚えている人は少なくないのですが、日本のCMなどには使われませんね。広告製作者は流行しか知らないから、仕方ないかも知れません。

<意外なインスパイア>
 イリヤ・サルキンドといってもご存知ないと思いますが、映画製作者です。
彼はこの作品を観て、「スーパーマン」の映画化を思いついたとのことです。イリヤ・サルキンドはその前にも「三銃士」「四銃士」を製作しているので、チャンバラが好きなんでしょうね。主役を演じたアラン・ドロンも、かつて主役を演じた「黒いチューリップ」の軽快なチャンバラが心地よかったので、このような作品の出演をリクエストしていたようです。

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「アラン・ドロンのゾロ」(1975) Zorro
監督:ドゥッチョ・テッサリ
作曲:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
出演:アラン・ドロン/オッタビア・ピッコロ/スタンリー・ベイカー