今回ご紹介する作品は「サウンド・オブ・ミュージック」です。

024サウンド・オブ・ミュージック

 オーストリア海軍の退役大佐と尼僧の恋を描いた、ミュージカルの名作です。
え?オーストリアには海がないだろって? 地理に強いあなたのツッコミは間違ってはいませんが、第一次世界大戦で手放すまではクロアチアやスロベニア、あるいは現在はイタリアの港であるトリエステなどはオーストリアの領土でした。つまり国の南西部分はアドリア海に面する国でした。

 愛国的な大佐は、ナチスドイツに併合された故国を捨て、家族と共にオーストリアから去るシークエンスで映画は終わります。実話に基づいた話ですが、大幅な脚色がなされていると聞いています。

<一番最初に買ったレコード>
 1970年代の半ばのリバイバル上映を劇場で観る機会に恵まれた私が、最初に買ったLPレコードがこのサウンドトラックです。
家にステレオがないのに買ってしまったので(笑)、近所の友人の家でよく聴いていました。その友人もこの映画のファンになりましたよ。

 オリジナルはブロードウェイミュージカルです。映画化のために、「Something Good」と「I Have Confidence In Me」の2曲が追加されています。
 アカデミー賞は編曲賞を受賞していますが、舞台の映画であったため、作曲賞にはノミネートされていません。他にも作品賞・監督賞・編集賞・録音賞を受賞しています。残念ながら主演女優賞は逸して、ジュリー・アンドリュースの二年連続主演女優賞の快挙は達成なりませんでした。でも、相当の僅差だったはずです。

<ザルツブルク>
 作品の舞台となったザルツブルクの風景はとても美しく、特にオープニングでジュリー・アンドリュースが「The Sound Of Music」を歌うアルプスの風景は絶景です。
映画が世界中で大ヒットしたので、ザルツブルクに多くの観光客を誘う要素のひとつとなっています。いくつかの旅行者が「サウンド・オブ・ミュージック・ツアー」を実施しているので、ザルツブルクへ訪れる方は利用されると良いでしょう。

 オーストリアという国の扱い方が、オーストリア人には受け入れられないだろうという判断から、この作品はオーストリアではあまり上映されていません。オーストリアを舞台とした「第三の男」と同様の扱いですね。

<トラップ大佐>
 クリストファー・プラマー演じるトラップ大佐は、史実で少佐です。
彼はオーストリア海軍の英雄として有名な人物でありました。第一世界大戦中にも多くの武勲をあげています。オーストリア敗戦の際には、日英同盟の絡みで地中海方面に展開させられていた日本海軍が、トラップ少佐の武装解除をしたと伝えられています。なぜ日本海軍が地中海へ?という疑問があると思いますが、軍事同盟とはそういうものです。

<マーニ・ニクソン>
 作品で尼僧の一人を演じたマーニ・ニクソンは、有名な吹き替え歌手です。
ミュージカル映画で歌うレベルに達していない主役の女優に代わり、彼女が歌うわけです。有名なところでは「王様と私」のデボラ・カー、「ウエスト・サイド物語」のナタリー・ウッドがあります。

 最も有名な吹き替えは、「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘップバーンです。「マイ・フェア・レディ」はミュージカルとしてだけでなく、作品としての評価も高かいのですが、主演女優のオードリー・ヘップバーンはノミネートもされていません。作品賞と監督賞、そして主演男優賞は「マイ・フェア・レディ」に輝いたにも関わらず、です。皮肉なことに、この年の主演女優賞は、舞台で「マイ・フェア・レディ」の主役を演じたジュリー・アンドリュース(「メリー・ポピンズ」)に輝きました。

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「サウンド・オブ・ミュージック」(1965) The Sound Of Music
監督:ロバート・ワイズ
作曲:リチャード・ロジャース
出演:ジュリー・アンドリュース/クリストファー・プラマー/エリアノ・パーカー/リチャード・ヘイドン/マーニ・ニクソン